銀弾のアリア

銀玉内職による錬金術

カニカニパニックのカニを備え付けのハンマーで全力でぶっ叩いて手を擦りむいた話



遠征先のとあるゲームセンターは、明け方まで営業していることもあり、その筋の者にたいそう人気があるそうだ。現にかざあなたんも含め、友人幾人かでよく利用したものである。
居候先からも徒歩数分というアクセスの容易さである。加えて、平日の夜は地元の住民がちらほらと見受けられる程度なので、大した混雑もなく遊べる。この周辺の穴場のような場所であった。

ショッピングモールのあるフロアに設けられたこのゲームセンター、広くもないがけして狭くもない。玄人向けの幅広いアーケードゲームが点在しているなか、申し訳程度のレトロチックなゲームが設置されている。

ワニワニパニックなどといった類の古風なもぐら叩きのようなゲームをご存知だろうか。
このゲーム、現代っ子の物心つく前からひっそりとゲームセンターに鎮座している、隠れた名脇役であるとかざあなたんは考えている。
さて、これらに数百クレジットを注ぎ込むほど心酔する方は少ないであろうが、それでも毎日一定数のプレイヤーがいるようで、日々異なるハイスコアが叩き出されている。
行きつけのゲームセンターにはこの派生系のカニカニパニックというゲームが併設されており、どういうわけかこの難易度が非常に高い。
かざあなたんもゲーマーの端くれではある。高難度と伺えば多少の興味は持つものだ。尤も、突き詰めて攻略しようと決意するに至るゲームはそうとう少ないのだが。

本日も陳腐なアミューズメントにワンコインを注ぎ込む。けして安くない金額だ。

右往左往する蟹を押し潰す。備え付けのハンマーで叩くと、内部の判定ボタンに触れず、叩き損となってしまう。なのでこの手のゲームは、蟹を押し込むようにして叩くのがよい。シンプルだが、攻略しようとするとコツがいくつかあってやりごたえがある。

こういうレトロ感漂うゲームは、なにより童心に帰れるのがウリである。
幼いころになけなしの100円を投じ、大したスコアも出せず終いの記憶を掘り起こすと、まるで当時の自分と対話しているかのようである。そうしてこのぎこちない挙動を繰り返すレトロゲームに、およそ60秒の制限時間、年甲斐もなく夢中になる。

裏ステージに突入し、高速で往復する蟹を勢いづけて叩きつけていると、あっという間にゲームは終了した。
本日のハイスコアを更新したようだが、このカニカニパニック、一日ごとにランキングがリセットされる。
なのでハイスコアといってもそれほどの価値はなく、実際にその筐体でそれ以上の記録が出されていることももちろんある。実はこれがこのゲームの魅力であるのだ。

入れ替わり立ち替わりのハイスコアに興味を持ち、毎日のようにトップランカーが100円を投じ、プレイする。当然ここに惹かれる者は少ないので、誰もやらない。
思い出したようにふらっと100円を入れて遊べるゲームだからこそいい。ハイスコアが動いていれば、同じ心情でプレイしたであろう誰かがいるということだ。 今日は古びた思い出に浸ろうと思い立ち、薄汚れたハンマーを振り回す変わり者が、確かにいる。そう考えるだけで、おもしろおかしくなってしまうのだ。

ある日には、理論値に近いスコアが叩き出されていることもある。一日限定のそれであるが、思わず目に留まってしまう。
稼働していない状態でのこのゲームのデフォルトのハイスコアは、初心者がプレイするぶんにも簡単に更新できるスコアになっている。なので抜きん出たスコアというのは、たいていゲーマーによって記録される。
おそらくほかにいくつものゲームに熱中し、高いゲームセンスを持った者のカニカニパニックである。スコアを見るだけで、想像が果てしなく膨らむ。

かざあなたんはこのコーナーに差し掛かると、いつもこうしてハイスコアを横目で見る。誰かのプレイ中を見たことがない位に過疎なゲームであるが、その寂れたコーナーに時々現れる高得点には、たびたびロマンめいたモノを感じるのだ。


帰路につく途中、創傷した右手に気付いた。先刻のカニカニパニックに拠るモノだろう。
幼いころ、プラスチック製のワニの一部が損壊していた筐体で、素手でワニを叩き皮膚を深く抉った日のことを思い出した。かざあなたんはあの日から何も変わっていないのだな、と考えると、余計に面白くて仕方がなかった。

今週で、この度の遠征先であった練馬からは帰ることになり、またしばらく地元に身を置く。おそらく、次に来ることはそうそうないのだろう。
遠征のたびに、かざあなたんは遠征先での傷を作り、その傷に渾名をつけて眺めている。もちろん意図してではないが。
青森県津軽海峡の波打ち際で転んで擦りむいた手首の傷が津軽傷、神田西口のあるカラオケ店でグラスの破片を片付けていた時の切創を神田傷と称していたので、今回は練馬傷とでも名付けるとしよう。
帰りの東武東上線では、手の甲でも見つめながら旅の余韻に浸ることにした。





※5月第2週稼働記録


5/9

店舗:ABC
稼働機種:真・北斗無双-23k
地獄少女 弐 きくりの地獄祭り+2k
緋弾のアリア-16k

収支:-37k

ひとこと:
常日頃から負けが込んだ時にも冷静、を心掛けたいと考えてたけど、最近になって感じたことがある。
別に思ったほどかざあなたん熱くなること少ないし、単に何やっても基本的に裏目になりそうだから最低限のリスク回避はしていそうだ。

でも10k沈むと立ち回りの選択肢が極端に狭まるのも事実だしなあ。ひとまずメンタル強くして負けた日にしょぼくれるのは治そう。


5/10

店舗:ABC
稼働機種:真・北斗無双+93k

収支:+93k

ひとこと:
普段出ない流れの店ってこうなるとやばい。いやはやごちそうさんでした。
先々月からの負債を半分は取り返した形か。


5/11

店舗:OCEAN
稼働機種:真・北斗無双-5k

収支:-5k

店舗:楽園
稼働機種:ルパン三世 I'm a super hero-9k
真・北斗無双+38k

収支:+29k

ひとこと:
釘は相変わらず地方のそれよりは基本的に良いが、稼働率が若干落ちている。北斗無双フィーバーもそろそろ下火になることを考えなければならないか。
いよいよ牙狼オワコンになると思ったんだけどなあ。

立ち回りが我ながらうまくいったので満足。本日は内容で勝てた感じだ。


5/12

店舗:楽園
稼働機種:真・北斗無双-20k

収支:-22k

店舗:OCEAN
稼働機種:真・北斗無双+36k

収支:+36k

店舗:マルハン
稼働機種:真・北斗無双-4k

収支:-4k

ひとこと:
最近介入を覚えて、いよいよ北斗無双厨になりつつある。(後に稼働記録をまとめるのが楽だからとかいうやましい気持ちは)ないです。


5/13

店舗:楽園
稼働機種:ルパン三世 I'm a super hero-10k

収支:-10k

店舗:OCEAN
稼働機種:アナザーゴッドハーデス+3k

収支:+3k

ひとこと:
すごく気になるルパンに座って挙動も気になる感じだったけど。
どうせ楽園だし所詮楽園だしたかが楽園だし出るわけないと見て撤退。
10kでもだいぶ追った自覚あるけど。


5/14

店舗:楽園
稼働機種:ミリオンゴッド ライジング-10k
真・北斗無双-12k
ルパン三世 I'm a super hero-29k

収支:-51k

ひとこと:
強そうな台を立ち回るが、良さそうな挙動の台ですら全く伸びず。激アツ外れからのショボ連という養分さながらの結果だ。
30kぐらい沈んだら無条件で立ち回れていないと認識するのも場合によってはありかもしれない。
ただ「30k負けたら回収日だから打たない!」とかって基準にして決め打ちするのはさすがに安直な気がするんだよな。それは真理なんだろうけどもっと根拠がほしい。


第2週合計収支:+32k

https://www.instagram.com/p/BFibjrfQ1d4/

https://www.instagram.com/p/BFibldHQ1d9/

ひとこと:
1日のバカ勝ちがあるだけでその週は立ち回りやリスク軽減の必要もなくだいたい勝てる、という事実を突きつけられたようだ。
最近ピンプロ一筋で行こうという決意が揺らぎ始めている。周りの軍団見てると明らかに安定感ちげーもん。



稼働記録おわり